ゆめにっきと『フレーム憑き』

すこし前に『フレーム憑き ― 視ることと症候』という映画評論本を読みました。読みながら、『ゆめにっき』に通じるところがあるなあと思ったので書いてみます。

 

窓付きの由来とは

ここでは『フレーム憑き』という不思議な書名が、ゆめにっきの「窓付き」の由来になったのではないか、ということを考えてみます。

 

先に断っておくと、この説には何の説得力もありません。はっきりいってガセです。でも、考えてみるとすこし面白そうなので、いろいろと想像を膨らませてみます。意図して創造的な誤読をしてみるということです。

 

 

まずは、この本を読むに至った経緯を説明しようと思います。

きっかけは、ゆめにっきが作られた2003~2004年前後の時代背景を調べようとしていたことでした。当時出版された書籍のリストを眺めていたのですが、そこに『フレーム憑き』という書名を見つけました。

フレーム憑き。これは「窓付き」という名前と近しいように思えます。しかも初版発行日は2004年6月20日です。これは『ゆめにっき』の最初のバージョンがリリースされる6日前です(0.00公開は6月26日)。

本が書店に並びはじめる時期はふつう初版発行日よりも早いので、おそらく6月上旬には書店に並びはじめていたのではないかと思われます。

 

つまり、ゆめにっきの作者は『フレーム憑き』が出版された頃にこのタイトルを見かけて、それをもじった「窓付き」というミステリアスでちょうどいい命名を思いついた。あるいは、ふと見かけたその不思議な書名がかたちを変えて夢に出てきた。ということを想像してみます。

 

「フレーム憑き」とは何なのか

ゆめにっきには、現実のマイルームから外に出ようとすると、窓付きが首を横に振る描写があります。そこから、窓付きはひきこもりである、という考察がよくされます。

本書『フレーム憑き』の著者である斎藤環は、ひきこもりに関する著作で有名な精神科医です。たとえば、著書に『社会的ひきこもり』(1998)や『「ひきこもり」救出マニュアル』(2002) などがあります。

 

本書は、斎藤氏が精神科医とサブカルチャーファンのふたつの視点から、映画・アニメ・漫画など多様な作品について語ったものです。

この本自体には、ひきこもり関連の内容は書かれていません。おもに映像作品から文化や社会を語るような内容です。そのあたりは、『ゆめにっき』の人里から切り離されたような雰囲気とはだいぶ毛色が異なる印象はあります。

 

さて、タイトルにもなっている「フレーム憑き」とは、この本のなかでどのような意味で使われているのでしょうか。

実は、このフレーズの意味はあまり明確にされていません。そもそも「フレーム憑き」という単語は本文中にほとんど出てきません。

しかもあとがきの謝辞で述べられているのですが、そもそもこのネーミングは著者自身の発案ではなく、他者が名付けたそうです。

青土社の雑誌『ユリイカ』の山本充氏には、映画『EUREKA』をはじめ、いくつかの映画やアニメ、漫画について論ずる機会を与えていただいた。本書のタイトルは当初全く異なったものを予定していたのだが、山本氏の発案である「フレーム憑き」以上のものをどうしても思いつけず、ありがたく採用させていただいた。山本氏に感謝します。(p.318)

 

本文中で「フレーム憑き」という単語が登場するのは、第I部の書き下ろし「マルホランドのフレーム憑き」という章の題名のみです。それ以外には登場しないし、何の説明もありません。

とはいえ、該当する章を読んでみると、なんとなく「フレーム憑き」という言葉の意味合いを推測できそうな内容が散りばめられています。

 

この章の最初には、映画の評論において「分裂症的」という表現が誉め言葉として使われている、という話題からはじまります。

明らかに「フレーム憑き」の「フレーム」は、映画のフレームを指しています。つまり映画の中で「どんなものを映像として画面に収めて表現しているか」を一語にまとめたものです。

そして後に続く「憑き」は、「狐憑き」と掛けているのだと思われます。かつて「狐憑き」と呼ばれていた状態は、精神疾患の症状だったのではないかという通説があります。そこが「分裂症的」と繋がっているのではないかと思います。

 

章の続きでは、フレームによって「一風変わった身体感覚」が表現された映画があるという論が展開されます。そうした身体感覚の表現によって、見る人の精神を変容させていきます。つまり「狐」ではなく「映画のフレーム」が人に憑依して普通でない精神状態をもたらすことが、映画における「フレーム憑き」なのだ、という意図だと推測できます。

 

この命名規則を『ゆめにっき』の「窓付き」に当てはめてみましょう。「フレーム」を「窓」に置き換えます。つまり「ゲームのウィンドウ」がプレイヤーに憑依して普通でない精神状態をもたらすのが「窓憑き」だ、ということになります。これはゆめにっきというゲームを象徴した名前であるように思えます。

 

マルホランド・ドライブ

さて、ここまで追ってきた「マルホランドのフレーム憑き」という章は、映画『マルホランド・ドライブ』(2001年公開)に関する評論です。

 

私はこの映画を知らなかったのですが、デイヴィッド・リンチ監督による難解な作品だそうです。公開当時はネットでの考察も盛んだったそうで、それについて本章の中でも語られています。

 

まず『マルホランド・ドライブ』どのような映画なのか、参考までにWikipediaを引用してみます。

本作品には、直線的に進行するストーリーが存在しない。現実のシーン、回想のシーン、空想のシーン、夢のシーン、ストーリーに関わりのなさそうな第三者のシーンなどが説明のないままちりばめられているような印象を与えがちである[3]。それが誰の「回想・空想・夢」なのか、果たして「現実のシーン」などあるのかという疑問を通常観客は抱きがちである。

その脈絡の無さ、意味不明さを突きつけられた観客が無理矢理にストーリーと世界観を組み立てる事が、「人が無秩序な現実世界を前にして、無理矢理に“世界観”を組み立て、人生を“ストーリー”化する」さまを、映画というメディアに投影しているという解釈も出来る。しかしそれも数ある解釈の一例に過ぎない。

 

これはかなり『ゆめにっき』にも当てはまる説明のようにも思えます。

以前このブログで「Dream Lucidity」というゆめにっきを使った研究の論文を紹介しましたが、そのなかで実験参加者が「デイヴィッド・リンチっぽい」と話していたという記述があるので、やはりリンチ監督作品とは似た雰囲気はあるのかもしれません。ききやま氏がリンチの映画を観ていたかどうかはわかりませんが……。

curaca.hatenadiary.jp

 

人はこじつけが好きな生き物

「マルホランドのフレーム憑き」の話題へ戻りましょう。

 

『マルホランド・ドライブ』を観た多くの人が、その内容について考えを巡らせるようです。あのシーンはどういうことだったのか、どういう時系列だったのか、何が作中で現実に起きたことだったのか。そのなかで様々な考察が出てきます。代表的なのは夢オチ説ですが、それでも、前半パートを夢とするか、後半パートを夢とするかで解釈が変わってきます。

そしてリンチの作品には、繰り返し登場する人物・物体・シーンがあるようです。斎藤氏はこれを「メタ世界の描写」と呼んでいます。これによって、作品群の根底を流れる一貫したものがあるかのような表現がなされているようです。

 

このあたりの話は、以前書いた「ゆめにっきのグラフィックスの一貫性」の記事ともつながると思いました。ゆめにっきというゲームも、要素を繰り返し登場させたり、表現に一貫性を持たせたりすることで、プレイヤーは何かを感じ取らせる構造を持っています。

curaca.hatenadiary.jp

 

このように、ヒトは繰り返し現れる不可解なものに対して、理由をこじつけることが好きなのかもしれません。そうすると世界がシンプルに納得できるからなのでしょう。この性質をうまく取り入れて魅力的に仕上げているのが「省略された部分を考察させる」系コンテンツではないでしょうか。

意味ありげなものが提示されると、そこから何か一貫性を見つけようとしたり、グループや順番を整理しようとしたり、物語や背景を想像しようとしたりしてしまう。それはある意味では楽しいことでもあります。

 

この記事では私も「フレーム憑き」を「窓付き」にこじつけてしまいました。結局、窓付きってなんなんでしょうね。

ゆめにっきのグラフィックにおける一貫性を探る

ゆめにっきをプレイしていると、グラフィックに謎の一貫性・統一感があるように感じます。まるで何らかの未知のルールに従って作られているかのようです。では、何が一貫しているのでしょうか?

グラフィックに対してはいろいろな考え方があると思いますが、ここでは明確に外部の影響が見える要素から出発して、図柄の一貫性、パターンの一貫性、デザインの一貫性を見ていこうと思います。

 

MOTHER と L.S.D.

ゆめにっきが明確な影響を受けているゲームに『MOTHER』と『L.S.D.』があると思われます。

 

MOTHERのキャラクターグラフィックスは、主にモノ江・モノ子・ポニ子の見た目に影響していると思われます。一部のマップについても、たとえば「浅瀬」は MOTHER に登場する「マジカント」の影響を受けているのではないかといわれています。

 

L.S.D. からの影響が顕著に現れているのが「顔絨毯広場」と「ネオンの世界」でしょう。よく似たグラフィックがマップ「HAPPY TOWN」内に登場します。2024年のインタビューのなかで、作者のききやま氏は「佐藤理氏のゲームをプレイしたことがあるか」という質問に「はい」と答えています。

 

中米の染織模様

もうひとつ明確に影響を受けていると思われるのが、中米の染織物にみられるパターンです。特にゆめにっきの初期から存在するマップには、こうした染織模様の意匠を感じさせるものが多いです。

染織模様は、タテ糸とヨコ糸を組み合わせたグリッド上に絵を描くという性質上、ドット絵との相性が高いように思います。

 

中米にはかつてさまざまな文明・文化がありました。特に有名なものに、アステカ文明、マヤ文明、ナスカ文化があります。それぞれ時期・場所によって微妙に意匠の異なる染織が作られていました。なかでもパラカス文化の染織物からは、ゆめにっきのドット絵に近い雰囲気が感じられます。

出典:メトロポリタン美術館(パブリックドメイン)

 

図柄

ゆめにっきに登場するキャラクターはさまざまな見た目をしていますが、観察するといくつかのパーツを組み合わせて作られていることがわかります。

 

ここではいくつか例を見てみましょう。

ゆめにっきには、思ったよりも様々な「目」が登場します。分類してみると、大まかに目のかたち・瞳孔の種類・向きなどで描き分けられているようです。

登場頻度の高い表現として、不気味に笑っている目口があります(モノ江、タコ風船、ネオン、FCダンジョンの壁など)。あるいは斜視だったり、無限遠を見つめていることも多いです。数は少ないですが、「目玉の世界」のようにグロテスクな目玉のかたちで表現されている目もあります。

 

また妖怪的なキャラクターや有機的な物体には、パーツに多くの共通点がみられます。

各パーツに共通するのは「空間を埋めるようなでこぼこ構造」です。前述した中米の染織模様も平面空間を埋めるように描かれていますが、そこから派生・拡張した絵柄といえるかもしれません。

こうしたパーツによって、妖怪や奇形児のように奇妙でおどろおどろしい印象が形作られているように思います。有機的に描かれているため、ふっと幽霊のように消えてしまう存在ではなく、妖怪の内側に筋肉・内臓・体液が詰まっていそうな実体感をもった不快さが表れます。

 

こうしたパーツの作り方が、ゆめにっきの一貫性のもとになっているように感じられます。

「前衛的で奇妙な絵を描こう」と思うと、鉛筆でグシャグシャとするような、ある種のランダム性だけを使った制作指針をつい使いたくなってしまいます。しかし、ゆめにっきの有機的な絵柄のように、描き方に興味深い制限を与えて印象をコントロールしたほうが面白い表現になるのではないでしょうか。

 

暗闇と光

ゆめにっきに多くみられるのが、「暗闇に光源が置かれている」、あるいは「ある一方向から光で照らされている」という表現です。

たとえば、水たまりの世界、ベランダ、赤い地獄へのワープ、温泉さん部屋、ブロック大空洞などが該当します。

 

暗闇と光は、ゆめにっきらしさに大きく影響している要素だと思います。

これは個人的な話ですが、夜に散歩していると「なんだかゆめにっきっぽい」と思う風景に出会うことがあります。そんなときによく観察してみると「光源が電灯ひとつだけで、陰影が一方向に出ている」ような環境であることが多いです。

 

もともとファミコンゲームなどのドット絵には、色数制限から陰影の強い表現がよくみられます。こうした古風なドット絵表現に深夜の単一光源がもたらすムードがうまくハマっているのが「ゆめにっき」なのかもしれません。

 

穴開き構造

ゆめにっきのオブジェクトを観察してみると、「穴開き」のものが多いです。中空構造だったり、小さな穴がポツポツと空いていたりします。

画面の賑やかしとしての側面もあるのかもしれませんが、これは明確にゆめにっきにおけるメインシンボルのひとつとして捉えられそうです。敷衍すれば主人公の「窓付き」も窓穴が開いていると解釈できるかもしれません。

 

穴が開いた構造の例を挙げてみると、ブロックの世界、座敷洞、デパート屋上、赤い地獄へのワープゲート、下水道、ピロリさん、魔女の橋周辺、モノ遠景の赤紐が通っているオブジェなどがあります。

特にすごいのが、下水道通路(画像右)です。窓・落書き・生き物など、徹底的に穴が開いているのがわかります。

 

こうした執拗な反復があることで、単に「そういうアートスタイルだ」というだけでは説明しきれない、意図や背景のようなものをプレイヤーに感じさせます。

プレイヤーは、穴開き構造物を何度も眺めているうちに、「何かの意図があるかもしれない」「根底を流れる、大きな背景があるのかもしれない」という考えへと誘導されます。そして理由付けとして考察をはじめます。この穴は「目」を暗喩しているかもしれない。いやいや「心の欠落」かもしれない。その考察が何であれ、繰り返し現れる謎の形状を見ることで仮説的推論をしたくなってしまいます。

あるいは「たくさんの穴がある」ことが何を意味しているのかうまく咀嚼できず、気味悪さや居心地の悪さを感じはじめるかもしれません。

 

もちろん多くのプレイヤーは「穴開きの構造物がたくさんある」ことを明確に言語化して考えているわけではないでしょう。実際のところ言われないと気付かないレベルです。ききやま氏もどれほど意図を込めて穴開き構造を散りばめたのかはわかりません(感覚的に作っていくなかで結果的にそうなっただけかもしれません)。

しかし、こうしたあからさまともいえない反復構造が、ゆめにっきをプレイするなかでの違和感や気味悪さを演出する要素として、とてもうまく作用しているのではないかと思います。

 

見下ろし画面・横長画面

ゆめにっきマップをフレームの構図で捉えると、大きく2パターンに分けられます。

それは「見下ろし画面」と「横長画面」です。

 

「見下ろし画面」は、計り知れないほど広大な空間に使われます。

「横長画面」は、狭くて閉じた空間に使われます。

 

 

ここでは後者の横長画面について取り上げましょう。

横長画面には、大きくふたつの効果があります。

 

ひとつは、画面が引き締まって没入感が高まる効果です。

映画などの映像作品でよく使われる、レターボックスエフェクト(画面上下を黒帯で隠して横長にする手法)はその代表例です。見栄えがよくなります。

 

もうひとつは、「舞台と観客」を切り離す効果です。

画面枠が付くことで、「ゆめにっきの世界は画面の向こうにあり、プレイヤーはそれを観客として見つめている」という関係がつくられます。

 

画面枠は「ファミリィゲーム」でも使われています。ミニゲームの画面を枠で囲うことで、ゲーム内ゲームであることを印象付けています。

 

ゆめにっきのグラフィックはこうした「舞台と観客」の関係を大切にして作られているように思います。

 

下向きドア

もうひとつ「舞台と観客」の関係を語るうえで重要な要素は、「下向きに入るドア」です。

実は、ゆめにっきには「下向きに入るドア」がほとんどありません。作中のほとんどのドアは、左・右・上いずれかの向きで入るように設置されています。

 

たとえば、ポニ子部屋の入口は上向きですが、部屋には右向きで出てきます。

上向きに入ると、右向きに出る

 

こうした「下向きドア」が徹底的に避けられている理由は、単純に考えれば「わかりにくくて見栄えがしないから」なのかもしれません。

しかし下向きドアを徹底して避けたことの作用として、「舞台と観客を切り離す」効果が生じているのではないでしょうか。

 

ここで現実の舞台を考えてみましょう。舞台はプロセニアムアーチと呼ばれる枠で囲まれており、舞台上の出入口は、左・右・奥に取り付けられています。手前側に出入口はつけられません。もし俳優が手前側に移動しようとすると、観客席側へ出てしまいます。ここにはいわゆる「第四の壁」と呼ばれる境界線があります。

プロセニアムアーチ (by scarletgreen, CC BY 2.0)

こうした舞台のアナロジーは、映像作品の構図を語るときに使われます(たとえば富野由悠季『映像の原則』)。もちろんこれはゲーム画面にも適用できる捉え方です。

 

「下向きドア」は手前側への移動に相当します。つまり観客席側への移動です。

下向きドアをくぐろうとするとき、窓付きとプレイヤーが向き合います。すると窓付きは「第四の壁」を破り、別人である「あなたとわたし」として向き合うことになります。こうなってしまうとプレイヤーにとって窓付きは他人になってしまい、キャラクターへの移入感・憑依感・追体験感が損なわれます。

このようなちょっとした幻滅体験を防ぐひとつの手段として、「舞台と観客」の構図を守り続けている、というようにも考えられるのではないでしょうか。

 

逆にいえば、下向きに入る象徴的なドアが作中に存在します。それは「ベランダ」です。

いま、ほおをつねってマイルームに戻ってきたとしましょう。プレイヤーはまだ観客気分かもしれません。しかしここでベランダへ向かう下向きのドアが設置されています。すると舞台としての視点が破綻して、「自室に戻ってきて、それを俯瞰視点で見ているんだ」と認識を改めることになります。

もしポニ子の部屋と同じように、マイルームのベランダが画面左側についていたらどう見えるでしょうか。「まだ舞台で上演されている=夢の中にいる」という感覚が維持されてしまい、メリハリが付かなくなってしまうのではないでしょうか。

 

マップの空間感覚は、手前側にドアがあるかないかだけで大きく変わります。夢のなかの世界は「舞台」としてプレイヤーから切り離されるし、一方でマイルームは現実的空間になっている。ゆめにっきのマップはこうした空間感覚が緻密にコントロールされている印象を受けます。

 

*ちなみに、夢の世界に「下向きに入る」ゲートがまったくないわけではありません。たとえば、バラック集落・ぜんまい荒野等には、出口が下向きに付いているマップがあります。こうしたマップは、広い空間の一部を見下ろすような構図になるため、「壁」を貫く感覚があまりないという事情もあるかもしれません。やはり窓付きが第四の壁を破らないようになっているような構造は確かにあるのではないでしょうか。

 

おわりに

ここまで見てきたように、ゆめにっきのグラフィックは巧妙に一貫性が与えられているように思えます。

紹介した内容は一端に過ぎませんし、あるいはこじつけと言えるかもしれません。自分自身にとっての「ゆめにっき」のかたちを探してみると、きっといろいろなものが見えてきて楽しいのではないでしょうか。

ゆめにっきの論文 "Dream Lucidity: Yume Nikki and Learning the Empathy Dreamscape" (2014) を読む

学術論文用の検索エンジン Google Scholar で "Yume Nikki" と検索すると、ゆめにっきを主題として書かれた海外の論文がいくつかヒットします。こうした論文はゆめにっきの考察や分析としても面白そうです。

 

この記事では、「ゆめにっき論文」のひとつである Dream Lucidity: Yume Nikki and Learning the Empathy Dreamscape (2014) を取り上げます。

ちなみに本文はリンク先の「OPEN ACCESS | Free PDF Download」ボタンからPDFで読めます。

 

まずは論文の内容をざっとレビューしてみます。

 

 

論文の内容

この論文のメインテーマは「デジタル環境におけるアクティブラーニング」。

「どうしたら自発的に学びたくなるのか」を検証するために「ゆめにっき」で実験をしている。

 

はじめに

「ゆめにっき」は、作者の意図・動機・背景が不明確なゲームである。特に日本の匿名的な作者によって作られており、西欧との文化的差異もある。そのため、プレイヤーが集まって考察・議論を重ねているファンコミュニティが存在する。

つまり海外のゆめにっきのファンの間では「ゲームを通じてプレイヤーが異文化を自発的に学ぶ」ということが起きている。

そこで著者らは、こうしたプレイヤーが情報源(ファンコミュニティ)を通じて開発者の意図を理解しようとする関わり方は、文化的分断を超えた共感反応を育むためのツールとして使えるのではないか、という仮説を立てている。

 

実験

立てた仮説にもとづいて、初見の人に「ゆめにっき」をプレイしてもらう実験をおこなった。

実験協力者は、大学で「ビデオゲームと文化分析 (Video Game and Cultural Analysis)」という講義を受講した学生9名。

 

実験の内容は以下のとおり。

  1. 実験協力者に「ゆめにっき」を具体的指示をせず15分間プレイしてもらう。プレイ中は、ゲームの感想、見ているもの、使っている戦略、考察などを声に出して説明してもらう(思考発話法)。
  2. Uboachan (海外のゆめにっきフォーラム) のウィキページにある「ひきこもり」に関する考察が書かれたページを見せ、最大20分間自由に読んでもらう。
  3. さらに10分間「ゆめにっき」をプレイしてもらい、初見との反応の違いを記録する。
  4. セッションの8ヶ月後にアンケートを実施する(ゲームが与えた影響、その後もセッション外でゲームを続けたかなど)。

 

実験でみられた反応の変化を、著者らは4つに分類している。

  • ケース1: 考察を読んで、考えを改めたケース
  • ケース2: 引きこもりの心境を理解しようとしたケース
  • ケース3: 深い共感とプレイヤー-アバター間の変化が起きたケース
  • ケース4: ゲームリテラシーとプレイヤー-作者間の関係に変化が起きたケース

それぞれのケースの具体的内容について見てみる。

 

ケース1: 考察を読んで、考えを改めたケース

Baileyはまず、ゆめにっきが2004年のゲームだということに驚いた。インディーズゲームでは「レトロスタイル」が最近の傾向だと考えていた。しかしそのシンプルさにあまり好意的な反応を示さなかった。しかしウィキを読んだあとは、ゲームプレイの広さが彼が複雑さの欠如だと感じていた部分を補うものだと理解して、より受け入れられるようになった。

Milesは、最初は非常に否定的な態度でゲームに臨んでいたが、ウィキを読んだことで好意的な評価に変化した。最初の感想は「古臭い」「制作がアマチュア的で未熟だ」というものだった。しかし、ウィキを読んで夢の世界の規模の大きさに驚くと、それまでの考えを訂正した。

その後のプレイではゲームへのコメントが劇的に変化し、「このゲームの複雑さがわかってきた」と述べて、それまでとは正反対の賛辞を贈るようになった。また、ゲーム自体への批判ではなく自身の混乱に苛立ちを覚えるようになり、「一番良くないのは、すべてに意味があると知っているのに、どれが何のために存在しているのかわからないことだ」と述べた。

グラフィックに関するコメントは「紫色の蛇が吐き出した何か」から「エッシャーっぽい」へと変化した。音楽についても「4音だけなのに中毒性がある」という評価になった。最初は軽蔑的に「キュート」と言っていたが、2回目のプレイで窓付きが椅子で回転できることに気付いた瞬間、賞賛の意を込めた言葉へと変わった。

ウィキで窓付きのトラウマ的過去に関するファンの考察を読んだ際、「彼らのようにキャラクターとつながれない」とコメントしていた。しかし窓付きとはつながれないと感じても、他のファンとは確実につながっているといえる。彼はファンが付けた部屋やイベントの名前をすぐに把握していた。他のファンによる複雑さへの信念と愛が、彼の態度を変えた真の要因だとわかる。

 

ケース2: 引きこもりの心境を理解しようとしたケース

多くの参加者は、ウィキを読んだあと、ゲームと引きこもりの両方に対する理解を深めているようだった。ゲーム内の要素と引きこもりの症状との関連性を考えて、このゲームをはるかに真剣に受け止めるようになった。

Baileyは、ウィキを読む前は、窓付きが「ハイになっている」「明晰夢を見ている」と冗談を言っていた。他のプレイヤーと同様、ゲームの目的がわからないと述べて、探索以外の目的はなさそうだと考えた。当初の彼は、訪れた場所やキャラクターをからかっていた。森の幽霊が出てくると笑い、雪の世界を「ナルニア」と冗談交じりに呼んでいた。

しかしウィキを読むなかで、彼は引きこもりとゲームの要素を結びつけるようになり、彼は即座に「ひきこもりだから窓付きがアパートを出ないのか」とコメントした。ひきこもり状態の人が長期にわたって自宅から出ないという内容を読むと、彼女への心配を述べた。彼はまた、このゲームをより理解するために、引きこもりや関連する障害についてさらに読みたいと興味を示した。ゲームを再開すると、目覚めて眠りにつくというパターンが、引きこもりの睡眠サイクルを示していることに気付いた。

さらに、引きこもりになりきってロールプレイをはじめた。屋上のエリアに出たときは、「ここは外だ、ここにいちゃいけない」と、すぐに部屋の中に戻った。また、ウィキを読む前には他のキャラクターに対して冗談を言っていたものの、鳥人間に出会うと冗談を言わず(脅威だとも知らずに)目にした瞬間に逃げ出した。彼は鳥人間につかまって閉じ込められ、引きこもりのように人を避けるべきだという信念を強化した。モールのエリアでは他のキャラクターを警戒して、観察してから近づくことを選んだ。

彼は依然として軽快な態度を保っていたが、ゲームの世界をはるかに真剣に受け止めて、窓付きとしてプレイするときにウィキの情報を批判的に取り入れていた。興味深いことに、セッションの最後にゲームを続けたいか尋ねられると、それには興味を示さず、ウィキを作成した背景やファン層について調べたいと述べた。ゲームのファンや作者について知ることに、ゲーム自体を知ることよりもはるかに興味を示していた。明らかに人間同士の相互作用が彼の興味を刺激する鍵となっていた。

 

ケース3: 深い共感とプレイヤー-アバター間の変化が起きたケース

ウィキを読んだあとにおける大きな変化のひとつは、プレイヤーのアバターである窓付きに対する共感の変容である。

Lucasはゲームプレイ中、「私・私自身」と「彼女(ウィキを読む前は「彼」)」を呼び分けていた。これは珍しい反応ではないが、キャラクターの性格理解のしかたを浮き彫りにしている。Harleyは、夢の世界で虚無になるかわりにミニゲームの「NASU」だけをプレイする、と冗談を言った。Frankは、目覚めたままドアを開けることを残りの10分間で試すつもりだと冗談を言った。キャラクターのスプライトが首が振るようすを見ると、考えなおして「快適な夢」を探す旅に出た。ウィキで心が痛むような考察に触れた結果、窓付きがプレイヤーに与える強烈な感情体験を回避したいと考えた。

Lucasは最も深い共感反応を示した。ウィキで窓付きに関する情報を深く調べてから、その過程でキャラクターに対して強い感情を抱くようになった。ゲームの結末を考察したページ(窓付きがすべてを集めたあとにそれらを捨てて自殺するという内容)によって、Lucasのゲームプレイ体験が根本から変わった。彼にとってゲームプレイが難しかったにもかかわらず、この情報によって、他のプレイヤーが到達できないほどのレベルで社会問題としての引きこもりと彼とを結びつけた。

ウィキを読んだあと、Lucasは探索しようと意気込んで遊びはじめたが、すぐにキャラクターに対して強い共感を感じはじめ、彼女の視点に浸りはじめた。特に、暗く閉塞感のある部屋に閉じ込められた感覚に襲われたとき、彼は窓付きを起床させて一時的に夢の世界から離脱して「ここにいたくない」と素っ気なく述べた。彼は夢の世界が唯一重要なことが起きる場所だと気付き、このことがこの少女の生活と、彼女が何もできない状況を意味しているのかもしれないと語った。

ウィキを読む中で、彼はエンディングに興味を持ち、(他のプレイヤーはそうしなかったにもかかわらず)みずからエンディングのネタバレを見てしまった。窓付きの自殺について読んだ後、彼は明らかに衝撃を受け、その後のプレイの質が変化した。

彼は夢の世界に現れる他のキャラクターと窓付きを交流させたいという切望から「彼女に人と話させたい」と述べ、やがて「でも人がいない」と絶望した。彼は「彼女を助けて自殺させたくない」という思いから、ゲームを進めることを拒んだ。コミュニケーションを望みながらもできないという矛盾した状況によって彼は焦燥感を感じていたが、雪の世界に入ると「ここには人がいなさそうだ」とむしろ孤独になっているにもかかわらず不安が軽減した。彼は引きこもり状態にある人物の心理状態に深く引き込まれていったことがわかる。

 

ケース4: ゲームリテラシーとプレイヤー-作者間の関係に変化が起きたケース

参加した9名中7名が、ゆめにっきを他のゲームと比較して議論した。具体的には『Slender: The Eight Pages』、『サイレントヒル』、『Amnesia』が頻繁に挙げられた。他のゲームへの言及の多くは、ゲームのマップや行動の描写に対するものだった。

Lanceは、目玉の世界に登場するあるキャラクターを「スレンダーマン」と呼んだ。Frankは、初回プレイの早い段階で、ゆめにっきのコンセプトが『Psychonauts』に似ていると指摘した。Timはセッション後のアンケートで「かなり不気味だった……デイヴィッド・リンチっぽい」と述べた。ゲーム以外と比較したのは彼1人のみで、ゲーム文化に深く浸っている人々は、ゲーム以外のソースを参照するアイデアが浮かばない傾向がある。

Glennは、最初のプレイで「これはRPGだ」と考え、これまでにプレイしたRPGでの経験を反映させていた。彼はゲームデータを保存したり(ほとんどの参加者は促されるまで行わなかった)、NPCとのインタラクションを試みるなど積極的に行動をした。しかしウィキを読んだあと、彼はこのゲームの「環境を通じてキャラクターを理解する」という前提を、『サイレントヒル』シリーズと比較した。その後、彼はゲームをパズルの一連の課題として捉えるようになり、観察の焦点をNPCではなく環境に移した。彼はドアの前に立っているキャラクターに出会うと(注:おそらく数字の世界?)、RPGのようにインタラクションの方法を考えるのではなく、「このキャラクターを排除するアイテムが必要そうだ」と考えた。彼は『サイレントヒル』との関連性が思ったよりも「このゲームにおいて深い意味がありそうだ」と述べ、テスト外でゲームをプレイしてつながりを探究したいと興味を示した。

Timは、ポイントアンドクリック型のアドベンチャーゲームとの関連性や、そこで学んだ戦略について詳しく語った。彼は窓付きの部屋にあるすべてのものとのインタラクションを試みた。自身を「アドベンチャーゲーマー」と称する彼は、重要なアイテムを見逃してはならないのだと述べた。彼は夢から覚めたときに部屋を再確認し、何も変化がないことを確認した。

彼がウィキを読み始めると、ジャンルが彼のプレイスタイルに与える影響がより明確になっていった。彼はゲーム自体とその曖昧な目標を、ひとつの大きな「パズル」として捉えた。彼は初期のMinecraftに例えて、当時はゲーム内のヒントやガイドがなく、プレイヤー同士で発見を報告しあう必要があったと話した。彼は最初に提示されたページからすぐに24種類のエフェクトの記事へ移った。これらのエフェクトがゲームの大きな「パズル」の文脈内で解くべき小さなパズルだと考えたためだった。8ヶ月後のアンケートでは、彼は「いつかダウンロードしたいリスト」に追加したと述べ、次にプレイする際はウィキを見てアイテムの場所を把握してから探索したいとした。彼曰く「こうしたフリーフォームプレイはメトロイドに例えられるけれど、実際には Elder Scrolls のようなゲームに似ていると感じている。アイテムの入手順は重要ではないが、何かを成し遂げるうえで他の場所で手に入れたものが必要になることがある」。

Timはエンディングのネタバレを確認した2名の参加者のうちのひとりだが、Lucasとは異なり、エンディングを知ることで「目的」が与えられた。彼は最初に必要なエフェクトを見定めて、その後ほかのエフェクトを得るためにそれを使うというプロセスでプレイしはじめた。彼のプレイスタイルは、ポイントアンドクリックからメトロイドヴァニアへと変わっていき、アイテムを適切な順序で入手することで新しいエリアを探索していくことが目的になった。

Timは「でんとう」の入手方法を読んだあと「暗闇の世界」に入って探索できることがわかると、ウィキを読む時間を3分短縮してゲームを再起動した。彼はすぐに「数字の世界」経由で「電灯の世界」へ直行し、「でんとう」を入手した。直後に目を覚まし、再び眠りにつき、「暗闇の世界」の探索を開始したところでセッションが終了した。彼は他のプレイヤーの探索報告が記載されているウィキから学んだことで、ゲームの「順序」を理解したことに満足していた。

Timはひきこもりへの共感を増した兆候を示さなかったが、TimとGlennは制作者がアイテムを配置した理由を分析することで、作者との知的なつながりを得た。

 

まとめ

一貫してみられたのは、ウィキの閲覧によって他者の思考と交流をすることで、参加者のゲームに対する態度が著しく変化した点だった。しかし、変化の具体的内容は参加者によって大きく異なっていた。

 

 

読んだ感想

おそらくゆめにっきを研究の中心に据えた最初の論文がこの "Dream Lucidity: ..." だと思われます。

アクティブラーニングや異文化理解の文脈でゆめにっきが出てくるというのは、なかなかユニークな研究だと思いました。

 

個人的見どころは、ゆめにっきを初見プレイした人がどのような反応をとるのかが鮮明に書かれている点です。これだけでも読んでいておもしろい。最初は否定的だったプレイヤーが考察ウィキを読むと真剣にプレイしはじめたという例は、ゆめにっきにおいて「考察」の存在がどれほど重要かを物語っていると思いました。

YouTubeなどでの初見プレイ実況配信を見ていても、ゲーム内容に深刻さを感じたとたん、真剣に入り込んでいくような傾向は確かにありそうだと思います。

 

一方で、日本における解釈とは異なる部分も感じられました。日本で「ひきこもり」というと、周囲に共感されず突き放されているようなイメージが個人的には強いのですが、実験に参加していた方々のリアクションは非常に同情的です。文化圏による受け取り方の違いを感じました。

また論文中のゆめにっきの紹介では、タイトルは夏目漱石の小説『夢十夜』や黒澤明の映画『』に由来していると思われる、と書かれていますが、個人的には初めて聞く話でした。どうなんでしょうか。

 

今後もこうした論文を読んでいきたいと思います。

ゆめにっき「顔の箱イベント」の画像をTVGで再現する

ゆめにっきの「顔の箱イベント」に出てくるグラフィックを画像編集ソフト「TVG」で再現を試みた際のメモ書きです。

 

「顔の箱イベント」は古代アステカ風のキャラクターがミニマルテクノとともに明滅するイベントです。ぜんまい通りの奥に置かれている穴の開いた箱で見られます。別名・サタデーナイトフィーバー。英語圏では Aztec Rave Monkey と呼ばれています。

www.youtube.com

 

TreeViewGraphics (TVG)

2003年頃から公開されている画像編集用フリーウェアです。このソフトは、ゆめにっきの制作に使われたソフトのひとつとして、ゆめにっきの「はじめにお読みください」に記載されています。実際、ゆめにっきの「顔の箱イベント」を含むいくつかのグラフィックは、TVGのフィルタ機能で加工されたと思われる画像が散見されます。

 

このソフトの最大の特徴は、大量のフィルタ機能を備えている点です。なんと最初のリリースから20年以上経った2025年現在も新しいフィルタが実装されつづけています。今回の検証には TVG 1.88 (2024/04/17 リリース) を使用しました。

www4.cncm.ne.jp

sites.google.com

 

検証

顔の箱イベントでパカパカ明滅している画像は、全部で「01」~「16」の計16枚あります。これらの画像は TVG で加工されたと思われる部分が多々みられますが、実際に元画像を加工したときに再現できるかどうかを検証します。

レギュレーションとしては、ピクセル単位で完全一致していなくても、おおむね近い結果が得られればよいことにします。また、ききやま氏がゆめにっきを制作した時点でTVG上に存在しなかったフィルタを使ってしまっている可能性も捨てきれませんが、2003~2004年当時のTVGにどのフィルタが実装されていたかは不明なのでここでは考えないことにします。

 

この記事では、実際の画像は掲載せずにTVGの編集手順のみを載せることにします。編集手順は、うまくいく方法が見つかったら随時更新していきます。

 

01

おそらくこれが元画像です。ドット絵エディタ(EDGE や DotPainterALFAR)で描かれたものと思われます。

 

02

輪郭線がカラフルになっている、ネオンサインのような画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「空間フィルタ > メディアン」(半径=3, 適用量=100, 濃度=44)
  3. 「空間フィルタ > MAX-MIN」(半径=1, ランク1=40, ランク2=75, 乗数=4)

 

03

全体的に青っぽい画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「カラー調整 > 色の反転」(RGB, しきい値=256)
  3. 「カラー調整 > 色の置き換え」(許容値=30, 色相H=-281, 彩度S=100, 明度V=-100)※背景部分をクリックして選択しておく
  4. 「カラー調整 > 色の置き換え」(許容値=30, 色相H=0, 彩度S=100, 明度V=40)※背景部分をクリックして選択しておく

 

04

青っぽくてエンボス加工された画像。

  1. 入力画像【03】
  2. 「空間フィルタ > 浮き彫り」(リニアライト, 半径=1, 適用量=50, 角度=200, シャドウ=100, ハイライト=100)
  3. 「カラー調整 > シャドウ・ハイライト」(シャドウ・輝度R=-100, シャドウ・輝度G=-65, シャドウ・輝度B=-100, シャドウ・輝度Y=-40, ハイライトはデフォルト値)
  4. (色ズレ編集など?)

 

05

黒くぼやけた輪郭の白黒画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「カラー調整 > 色の置き換え」(許容値=30, 色相H=0, 彩度S=0, 明度V=100)※背景部分をクリックして選択しておく
  3. 「空間フィルタ > XDoG」(半径1=18, 半径2=2, シャープネス=100.00, しきい値=0.00, 濃度=0.20)

 

06

原色に近い画像。

  1. 元画像【01】
  2. 「空間フィルタ > アンシャープマスク」(半径=1, 適用量=300, しきい値=0, 上限値=255)
  3. 「カラー調整 > ヒストグラムRGB二値化」(赤閾値=50, 緑閾値=50, 青閾値=50)

 

07

輪郭線がカラフルになっている、ネオンサインのような画像。【02】よりも輪郭線が太い。

  1. 入力画像【01】
  2. 「空間フィルタ > MAX-MIN」(半径=2, ランク1=35, ランク2=75, 乗数=5)

 

08

輪郭線が溶けていて、全体に雪のようなノイズが乗っているモノトーンの画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「カラー調整 > コントラスト」(明度V=100)
  3. 「カラー調整 > コントラスト」(明度V=100)
  4. (なんらかのぼかし処理?)
  5. 「空間フィルタ > 斑点ノイズ」

 

09

輪郭線が溶けていて、赤と水色の線になっている画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「カラー調整 > コントラスト」(明度V=100)
  3. 「カラー調整 > コントラスト」(明度V=100)
  4. (なんらかのぼかし処理?)
  5. 「空間フィルタ > MAX-MIN」

 

10

線が強調されていて、青く発光しているような画像。

  1. 入力画像【01】
  2. 「空間フィルタ > ペン&ブラシ」(輪郭の太さ=2, 輪郭の強さ=80, ブラシの濃度=0, 黒ベタ: OFF)
  3. 「空間フィルタ > XDoG」(半径1=2, 半径2=0, シャープネス=100.00, しきい値=0.00, 濃度=0.20)
  4. 「カラー調整 > 色の反転」
  5. 「空間フィルタ > ソフトフォーカス」(半径=7, 適用量=50, 明るさ=50, 色相=-1, スクリーン)
  6. 「カラー調整 > マルチトーン」(色指定・4色, -1, 0, 0, -1, 0, 40, 250, 100, 50, -1, 0, 100, 不透明度=100)
  7. 「カラー調整 > 鮮やかさ」(鮮やかさ=100)

 

11

キャンバス地のような質感のモノトーン画像。

  1. 入力画像【03】
  2. 「空間フィルタ > メディアン」(半径=2, 適用量=100, 濃度=44)
  3. 「空間フィルタ > 浮き彫り」(半径=1, 適用量=100, 角度=200, シャドウ=100, ハイライト=100, ハードライト)
  4. 「カラー調整 > モノトーン」

 

12

輪郭が白く強調された、X線写真のようなモノトーン画像。

  1. 入力画像【11】
  2. 「空間フィルタ > MAX-MIN」(半径=6, ランク1=40, ランク2=55, 乗数=6)?

 

13

下からライトが当てられているような画像。

 

14

画像全体にモヤがかかっていて、輪郭線がカラフルな画像。

 

15

全体に雪のようなノイズが乗っている赤茶っぽい画像。

  1. 入力画像【08】
  2. 「カラー調整 > YUV調整」(Y=10, U=-20, V=20)

 

16

全体に雪のようなノイズが乗っている赤と青の画像。

  1. 入力画像【15】
  2. 「カラー調整 > 色の反復」(分割数=3, 位相=85, 適用量=100)
  3. ツールバーの「領域指定(近似色)」を選択
    1. しきい値(Undoボタンの隣の入力欄)を「80」に設定
    2. 「全体」にチェックを入れる
    3. 画像の赤い背景部分をクリックして選択範囲にする
  4. 「カラー調整 > ヒストグラム均一化」(適用量=100)
  5. メニューから「選択範囲(S) > 選択範囲の反転(I)」
  6. 「カラー調整 > チャンネル置換」(色差V→R, 適用量50)
  7. 選択範囲を解除(ツールバーのボックス選択を選ぶ等)
  8. (画像全体を暗くする?)

 

いくつかの画像についてはまだ正確な再現手順を見つけられていないものもありますが、おおむねTVGで同じ傾向の画像が作成できることがわかります。

 

おわりに

ゆめにっきは、おそらく全編を通してTVGのフィルタ機能が活用されていると思います。タイトル画面のロゴもおそらくTVGのフィルタを重ねがけした結果ではないかと思っています。

この検討を通して、ききやま氏がどのようにTVGで細かな演出を作り込んでいたのか、その技が見えてくればいいなと思っています。

窓付き邸の外観はどうなっているのか?

ゆめにっきの主人公「窓付き」が住んでいる家は、ゲーム中では一部しか描写されていません。この住居はどのような構造になっているのでしょうか?

そもそもの話、ドット絵のグラフィックはデフォルメされているので、そこから物理的構造を推測するのはナンセンスです。無意味は承知のうえで、つじつまが合うように家の構造を考える、というくだらないことをやってみます。

 

資料にあたる

さっそく窓付き邸のベランダを見てみましょう。

以上がゆめにっきで唯一の資料です。ここから建物を想像してみます。

 

その1: ふつうの集合住宅説

最初に想像するのは集合住宅ではないでしょうか。

特にゲーム画面にみられるあずき色の壁は、じつに集合住宅らしい外観です。日本の住宅街をちょっと歩くだけでこういうタイルが張られたマンションが見つかります。

しかし窓付き邸は、一般的な集合住宅と大きく異なるところがあります。

たいていの集合住宅は横方向にも部屋が並んでいるものですが、この窓付きが住んでいる建物はスッとした縦長で、隣の部屋が見当たりません。縦方向にしか部屋が並んでいないのです。

 

さすがに、1階あたり1部屋しかないというのは考えにくい。そうなると、窓付きの部屋の「奥側」にも部屋があるのかもしれません。

 

もうひとつ気になるのは、ベランダが空中に突き出して宙ぶらりんになっているところ。これだけ歩き回れる広さのベランダを柱なしで突き出しても構造強度的に問題ないのか、という疑問が残る仮説です。

 

ゲーム画面に戻ってみても、ベランダが大きく突き出ているならその下に影が落ちそうな気がするものですが、そのような描写はされていません。

そこで、次の説を考えてみます。

 

その2: 階段型マンション説

一般的な集合住宅だけではなく、階段型の集合住宅もありえます。つまり、ベランダが下階の真上に乗っかっているような構造です。いわゆるルーフバルコニーです。

階段型マンション」などで画像検索するとこの手の写真がいろいろと出てきます。特にバブル期には、このような階段型マンションがよく建てられたそうです。

 

マンションを階段状にする理由はいくつかあるようです。

  1. 斜面に建てるため。
  2. 建築基準法における「斜線制限」と呼ばれるルールをクリアするため。

 

まず少なくとも、斜面に建っているイメージではないと思われます。斜面に建っている場合、建物と同じ高さに斜面があるので、ゲーム画面のような「ベランダの後ろに空がある」構図はとれなくなります。

 

もうひとつは、「斜線制限」をクリアするために作られた、階段状の住宅という説です。

高さのある建物を建てるとき、周辺の日照・風通し・圧迫感に問題が起きないよう、法律で定められたある斜線をはみだすような建物を建ててはいけないそうです。

斜線制限を意識して街を観察すると面白いです。実際、4~5階以上のマンションが多い地域を歩いていると、角が階段状になっている住宅を頻繁に見かけます。

 

マンション等で斜線制限の影響を受ける場合、ただ階段状にして部屋数を減らすのではなく、そこを窓付き邸のようなルーフバルコニーにしてしまうケースもあるようです。

iqrafudosan.com

 

つまり一つの解として、「窓付きは、北側斜線制限をクリアするために設けられたルーフバルコニーのある物件に住んでいる」というケースがありえます。

この場合、ゲームのカメラは北側を背にして南側を向いていることになります。日中でも、建物自体が影になってベランダは暗いというイメージです。

 

その3: ルーフバルコニー付きの一戸建て説

これまで考えてきた集合住宅説では、「窓付きが一人暮らしをしている」という前提で考えてきました。一方で、窓付きを年端のいかない子どもと捉える場合、これは少し無理があります。

古い一戸建てでよく見かけるのが、ルーフバルコニーが設置されている家です。特に、1階部分が家業のお店・事務所・工場などで、2階以上を住居として使っているパターンです。

 

この捉え方をすると、窓付き邸の不思議なところがいくつか解決できます。

  • 隣の部屋がない
    → 一軒家だから。
  • ベランダの真下はどうなっているのか?
    → ルーフバルコニーなので下階の部屋がある。
  • 窓付きは一人で生活できているのか?
    → 一戸建ての一部屋で引きこもっている状態。
  • 家にしては室外機が多い
    → 1階に事務所・工場などの家業の設備があるから。

弱点は、高層階の建物が想像しにくいところです。高くても3階建てくらいまでが限度のような気がします。個人的には「高い場所で孤独に過ごしている」ような印象なのですが、一戸建てとするとそういった雰囲気は感じにくくなってしまいます。

 

おまけ

ちなみに YUMENIKKI -Dream Diary- のベランダは原作ほど広くありません。この解釈ではルーフバルコニーではなく、一般的なベランダとして描かれています。

 

いくつかの仮説を考えてみましたがどれが正しいというわけでもありません。以上、しょうもないお話でした。

ゆめにっきのマップ番号から制作順を考える

ゆめにっきの過去バージョンをプレイすると、バージョンごとにマップが追加されていく様子が感じ取れる。では実際のところ、どのように発展していったのだろうか。

この記事では、ゆめにっきのバージョンごとの変遷を、「マップ番号」とファイル更新日時を手掛かりとして追ってみる。

 

 

 

マップの更新順を探る方法

マップの更新順を推測するうえで活用できる情報は、主に以下のふたつがある。

ここでは簡単にマップ番号の仕組みについて触れておきたい。

RPGツクール2000/2003のマップデータは、「MapXXXX.lmu」というファイルに記録されている。ここでは「XXXX」に入る4桁の数字を「マップ番号」と呼ぶことにする。このマップ番号の割り当てルールを以下にまとめる。

(1) 欠番がなければ最後の番号が与えられる

マップを一度も削除せずに新規追加した場合、連番で最も大きい番号が付与される。

Map0001.lmu
Map0002.lmu
Map0003.lmu

Map0001.lmu
Map0002.lmu
Map0003.lmu
Map0004.lmu (New!)

(2) 欠番がある場合、小さい番号から埋めていく

マップが削除されたことで欠番ができている場合は、新マップは最も小さい欠番に割り当てられる。

Map0001.lmu
Map0003.lmu
Map0005.lmu

Map0001.lmu
Map0002.lmu (New!)
Map0003.lmu
Map0005.lmu

つまり、基本的に連番で増えていくが、欠番がある場合はそれを埋める。

マップ名や更新日時と照らし合わせることで、「本当はもともとマップがあったかもしれない」という情報が探れるかもしれない。

 

では、実際のゆめにっきのマップに、このルールは適用できるのだろうか。

現存しているゆめにっきのバージョンには ver.0.04, 0.06, 0.07, 0.08, 0.09, 0.10, 0.10a の7つがある。これらのバージョン間の差分を調べると、ver.0.09 と ver.0.10 のあいだでマップ番号の割り当てが大きく再編されている。逆にいうとそれ以前の ver.0.04 から ver.0.09 までは上述のルールそのままでマップが追加されているように見える。そこでこの記事では、制作初期から ver.0.09 までには大きなマップ再編がないことを仮定して考えることにする。

 

マップ更新順の推測

ということで推測に着手してみる。

以下はあくまで単なる推測であり一例にすぎない。ほかにも考えようがあるので、実際にこの順番で更新されたかは確実ではないことは、ここで明記しておく。

 

最初期 (基本的な部屋を追加)

制作初期の段階。ゆめにっきの最初の作業がはじまったのは2003年1月頃と思われる(The Cutting Room Floor のThumbs.db解析より)。マップチップ素材の更新日付等も含めて推測すると、少なくとも2004年4月頃までには以下のマップが既に作られていたと考えられる。

Map0001: ???(テストマップ1 or 地獄の交差点 or 削除済みマップ)
Map0002: 夢「部屋
Map0003: 扉部屋
Map0004: ゲームスタート ※起動時に「ゲームのせつめい」を表示する空マップ
Map0005: ???(テストマップ1 or 森の世界 or 削除済みマップ)
Map0006: 現実「部屋
Map0007: テストマップ2
Map0008: ベランダA
Map0009: 夢ベランダA

欠番と思われるマップが2つ存在する (Map0001, Map0005)。これらのマップが最初からあるのか、あとから削除されたのかはわからない。ひとつ考えうる点としては、ver.0.04時点で「テストマップ2」というマップが残っていることから、どちらかは「テストマップ1」だったのかもしれない。

ちなみに ver.0.04 時点における Map0001 は、地獄の交差点(半透明の窓付きがいる場所)である。もしゆめにっきで一番最初に作られたのがこの交差点マップだとしたら、かなり意味深に感じられる。

また、夢部屋と現実部屋の名前には、謎の開始カギカッコがついている。このカギカッコは、マップが全体的に整理される ver.0.09 まで残され続けている。どうやら文字化けではなさそうで、意図があるのか単なる入力ミスなのかは不明。

 

初期1 (扉部屋マップを追加)

扉部屋から行ける12個のマップが追加された状態。少なくとも2004年6月初頭にはこの状態になっていたと思われる。

Map0001: ???(テストマップ1 or 地獄の交差点 or 削除済みマップ)
Map0002: 夢「部屋
Map0003: 扉部屋
Map0004: ゲームスタート
Map0005: 1かえる
Map0006: 現実「部屋
Map0007: テストマップ2
Map0008: ベランダA
Map0009: 夢ベランダA
Map0010: 2帽子マフ
Map0011: 3かさ
Map0012: 4包丁
Map0013: 5雪女
Map0014: 6髪型
Map0015: 7自転車
Map0016: 8目玉腕
Map0017: 9小人/太る
Map0018: 10猫耳
Map0019: 11ネオン
Map0020: 12電燈

特徴的なのが、森の世界のマップである「1かえる」だけが不自然に「Map0005」になっている点。Map0005が最初から森の世界マップで後から「1かえる」と番号を振ったのかもしれないし、もともと別マップがあって削除されたのかもしれない。

 

初期2 (サブマップの追加、エンディング実装)

さらに深い階層のマップが追加された状態。マップチップの更新日から推測すると、少なくとも2004年6月中旬にはこの状態になっていたと思われる。

Map0001: ??? → 小マップ7 ※現在でいう地獄の交差点
Map0002: 夢「部屋
Map0003: 扉部屋
Map0004: ゲームスタート
Map0005: 1かえる
Map0006: 現実「部屋
Map0007: テストマップ2
Map0008: ベランダA
Map0009: 夢ベランダA
Map0010: 2帽子マフ
Map0011: 3かさ
Map0012: 4包丁
Map0013: 5雪女
Map0014: 6髪型
Map0015: 7自転車
Map0016: 8目玉腕
Map0017: 9小人/太る
Map0018: 10猫耳
Map0019: 11ネオン
Map0020: 12電燈
Map0021: 小マップ9 ※チェックタイル通路+ベッド
Map0022: 階段
Map0023: 小マップ4 ※チェックタイル通路
Map0024: ??? ※ver.0.04には「小マップ3」がない。おそらくこれがそう?
Map0025: 小マップ5 ※顔絨毯広場
Map0026: 小マップ2 ※ネオンタイル通路
Map0027: エンディング ※血痕
Map0028: 小マップ8 ※地獄迷路
Map0029: 小マップ6 ※自販機のある樹海
Map0030: 小マップ1 ※ギロチン部屋

まず、チェックタイル通路、ネオンタイル通路、顔絨毯広場、階段(未使用マップ)が追加されている。このあたりにはプレステゲーム『L.S.D.』の影響を感じさせるものが集中している。その後さらに、地獄迷路、樹海、ギロチン部屋が追加されている。

これらの「小マップ」には通し番号がつけられているが、マップ番号と照らしあわせると順番がめちゃくちゃになっている。おそらく一通りマップを作ったあとで、整理のために番号を振りなおしたとみられる。

このあたりでエンディングが実装されている。もしかするとこの時点ですでに、エフェクトを取得する、エフェクトを捨てる、エンディングを見る、という流れが実装されていたのかもしれない。

 

ver.0.00 あたり (ベランダの背景バリエーション追加、サブマップの追加)

ver.0.00 の公開日は 2004/06/26 となっている。その後のバージョンが完成から配布サイト(Vector)での公開までに約1週間かかっていることを考えると、おそらく 2004/06/19 付近には完成していたと考えられる。

少なくとも ver.0.00 に入っていた可能性があるマップは以下の通り。

Map0001: 小マップ7
Map0002: 夢「部屋
Map0003: 扉部屋
Map0004: ゲームスタート
Map0005: 1かえる
Map0006: 現実「部屋
Map0007: テストマップ2
Map0008: ベランダA
Map0009: 夢ベランダA
Map0010: 2帽子マフ
Map0011: 3かさ
Map0012: 4包丁
Map0013: 5雪女
Map0014: 6髪型
Map0015: 7自転車
Map0016: 8目玉腕
Map0017: 9小人/太る
Map0018: 10猫耳
Map0019: 11ネオン
Map0020: 12電燈
Map0021: 小マップ9
Map0022: 階段
Map0023: 小マップ4
Map0024: ??? → ベランダB ※背景が夕焼けになっている現実ベランダ
Map0025: 小マップ5
Map0026: 小マップ2
Map0027: エンディング
Map0028: 小マップ8
Map0029: 小マップ6
Map0030: 小マップ1
Map0031: 夢ベランダB ※背景が山になっている夢ベランダ
Map0032: 小マップ10 ※足跡通路
Map0033: 小マップ11 ※足跡通路の奥(ポンプみたいなキャラの場所)
Map0034: 小マップ12 ※ブロックの世界+高架+ベッド

ver 0.00 の時点で、ベランダ背景の差分である「ベランダB」「夢ベランダB」が追加されていたと考えられる。さらに足跡通路も追加されている。

 

ver.0.01, ver.0.02 あたり (深いサブマップの追加)

ver.0.01 は 2004/07/06 公開、ver.0.02 は 2004/07/14 完成となっている。

マップチップの更新日時から推測すると、このあたりで 荒野、バラック集落、下水道、座敷洞、デパート が追加されたと考えられる。

(マップ数が増えてきたので、ここからは新たに追加・変更されたと思われるマップ番号のみを記載する。)

Map0035: 小マップ13 ※荒野
Map0036: 小マップ13A ※荒野
Map0037: 小マップ13B ※荒野
Map0038: 小マップ13C ※荒野
Map0039: 小マップ13D ※荒野
Map0040: 小マップ13E ※荒野
Map0041: 小マップ14 ※バラック集落
Map0042: 小マップ15A ※下水道
Map0043: 小マップ13F ※バラック集落へのフェンス入口
Map0044: 小マップ15B ※下水道
Map0045: 小マップ14A ※バラック室内
Map0046: 小マップ15C ※下水道
Map0047: 小マップ15D ※下水道
Map0048: 小マップ16A ※デパートの広いマップ
Map0049: 小マップ16B ※赤い大口
Map0050: 小マップ17 ※座敷洞
Map0051: 小マップ16C ※デパート入口
Map0052: 小マップ16D ※デパート ふえエントランス
Map0053: 小マップ16E ※デパート ふえ
Map0054: 小マップ16F ※デパート トクトくん

 

ver.0.03, ver.0.04 あたり (FC世界の追加)

ver.0.03 は 2004/09/02 完成、ver.0.04 は 2004/09/29 完成となっている。ver.0.04 時点でのエフェクトは20個。

この時期に FC世界, かまくら, 湖回廊 が追加されたと思われる。2004年8~9月にかけては主にFC世界マップに着手していた形跡がある。同年9月末にはFC家マップのBGMとみられる曲がプレイヤーズ王国に「鬼の子」という曲名で投稿されている。

また、ミニゲームの「NASU」や、没となった「なまくびPK」が制作されはじめたとみられる(詳細はTCRFを参照)。

ゆめにっき ver.0.04 は「フリーウェア年鑑2005」に収録されている。発売は少し後の2005年1月である。

Map0055: FC地下4
Map0056: かまくら
Map0057: かまくら
Map0058: かまくら
Map0059: かまくら
Map0060: かまくら
Map0061: かまくら
Map0062: FC地下1
Map0063: FC家
Map0064: FC家の中
Map0065: FCへ
Map0066: FC地下3
Map0067: FC地下2
Map0068: FC地下8
Map0069: FC地下5
Map0070: FC地下6
Map0071: FC地下7
Map0072: 湖回廊
Map0073: 小マップ15E
Map0074: FC地下9
Map0075: FC地下10
Map0076: FC地下11
Map0077: FC地下12
Map0078: FC地下13
Map0079: FC地下14
Map0080: FC地下15
Map0081: FC地下16
Map0082: FC地下17
Map0083: FC地下18

 

ver.0.05, ver.0.06 あたり

ver.0.05 は 2004/11/23 完成、ver.0.06 は 2005/01/22 完成となっている。エフェクトは ver.0.06 時点で「まじょ」「おに」「ぶよぶよ」「しんごう」が追加され、現在の24個になっている。また、ver.0.05 からはミニゲームが追加された(更新履歴より)。

このあたりで ブロック大空洞, 死体さん, 魔女の樹海, もうひとつのFC世界 が追加されたとみられる。全体的にじめっとした湿度の高いマップという印象がある。

ゆめにっき ver.0.06 は「フリーゲームstation! vol.1」というムック本に収録されている。この本の発売日は 2005/03/26 である。

ver.0.04 と ver.0.06 の差分は以下の通り。

Map0007: テストマップ2 → テストマップ1
Map0022: 階段 → テストマップ2
Map0084: 兄弟 ※ブロック大空洞
Map0085: 小マップ6A ※樹海の無限ループ入口
Map0086: 小マップ6C ※樹海の無限ループ
Map0087: 樹海1
Map0088: 樹海2 ※死体さん
Map0089: 小マップ14B ※バラック小屋のぶよぶよ
Map0090: FC地下19 ※おにの小部屋
Map0091: 小マップ16G ※デパートから樹海へ行くマンホール
Map0092: 小マップ ※整理用の空マップ
Map0093: ファミゲー1 ※NASU
Map0094: サブマップ ※整理用の空マップ
Map0095: 樹海3(樹海電車)
Map0096: 電車車内
Map0097: 樹海4
Map0098: 樹海5
Map0099:
Map0100:
Map0101: 樹海電車2
Map0102: FC入り口2
Map0103: FC全体
Map0104: FC洞窟口
Map0105: FC石口
Map0106: FC地下20
Map0107: FC地下21
Map0108: FC地下22
Map0109: 小マップ13G
Map0110: 小マップ6B ※樹海の無限ループ
Map0111: 小マップ6D ※樹海の無限ループ(死体さん側)

 

ver.0.07

ver.0.07 は 2005/04/24 完成となっている。

追加マップは 浅瀬 と 白黒世界 である。ちなみにこの時点の浅瀬にはまだポニ子部屋がない。

また、のちに削除される「小マップ7」と「小マップ12」に黒四角マークが付けられた。ききやま氏はこの時点でマップを置き換えようと考えはじめていたのかもしれない。

ver.0.06 と ver.0.07 の差分は以下の通り。

Map0001: 小マップ7 → ■小マップ7 ※現在でいう地獄の半透明窓付き
Map0034: 小マップ12 → ■小マップ12 ※ブロックの世界+高架+ベッド
Map0112: 浅瀬
Map0113: 小マップ2A ※ネオンタイル通路
Map0114: 小マップ18 ※白黒世界
Map0115: 小マップ18A ※モノ子
Map0116: 小マップ18B ※白黒通路 遠景
Map0117: 小マップ18C ※モノ江
Map0118: 小マップ18D ※白黒通路行き止まり(生首浮遊)
Map0119: かまくら ※浅瀬行きのかまくら
Map0120: 小マップ18E ※白黒の目玉親父部屋
Map0121: 小マップ18F ※白黒通路 手足

 

ver.0.08

ver.0.08 は 2005/07/30 完成。

追加マップは 数字の世界、ポニ子&ウボァ、キュッキュくん、赤の王様 である。全体的にトラウマチックな印象のマップが多い。このバージョンまでは扉部屋から電燈の世界が直接つながっていたが、電燈の世界が新しく作りなおされ、新たに数字の世界が実装された。

ちなみに2ちゃんねるのゆめにっきスレが建てられたのは、ver.0.08が公開される少し前の 2005/06/19 である(非公式ゆめにっきより)。このあたりからニュー速VIP二次裏などでも流行しはじめている。

ver.0.07 と ver.0.08 の差分は以下の通り。

Map0001: ■小マップ7 → FC洞窟口2
Map0020: 12電燈(BG未) → 020小マップ15F ※下水道ののっぺらぼう
Map0034: ■小マップ12 → FC村001
Map0114: 小マップ18 → モノ
Map0115: 小マップ18A → モノ001
Map0116: 小マップ18B → モノ002
Map0117: 小マップ18C → モノ003
Map0118: 小マップ18D → モノ004
Map0120: 小マップ18E → モノ005
Map0121: 小マップ18F → モノ006
Map0122: 12電燈(改 ※数字の世界
Map0123: 電燈小部屋1 ※コミケ部屋
Map0124: 電燈小部屋2 ※ベッドとタンスの部屋
Map0125: 電燈小部屋3 ※電燈の世界
Map0126: 電燈小部屋5 ※キュッキュくん
Map0127: 電燈小部屋4 ※キュッキュくん入口
Map0128: 浅瀬の家
Map0129: 映像 ※赤の王様
Map0130: FC村地下 ※ぶよぶよ
Map0131: モノ007 ※ウボァの最期
Map0132: FC村002
Map0133: FC村003
Map0134: 小マップ3 ※小マップ7を作り直した半透明窓付き

 

ver.0.09

ver.0.09 は 2005/12/10 完成。

FCダンジョン、空中庭園、白黒世界の新マップ(死体さん樹海側、FCダンジョン側) が追加された。長らく存在していた階段の未使用マップが削除され、FCバグ部屋が作られた。

ver.0.08 と ver.0.09 の差分は以下の通り。

Map0020: 020小マップ15F → 小マップ15F
Map0022: テストマップ2 → FCD02? ※FCバグ部屋
Map0135: モノ008
Map0136: モノ009 ※歯ぎしり
Map0137: 公園
Map0138: モノ010
Map0139: FCD03
Map0140: 小マップ13H
Map0141: 小マップ13I
Map0142: 小マップ13J
Map0143: 小屋の中A
Map0144: 小マップ13K ※空中庭園への通路
Map0145: 小マップ13L
Map0146: 小マップ13M
Map0147: 小マップ13N ※空中庭園へ向かう長い階段
Map0148: 公園崖
Map0149:  ※△ずきんの部屋
Map0150: FCD01
Map0151: FCD02
Map0152: 小マップ1A ※広いギロチン部屋
Map0154: モノ012 ※FCダンジョンから行ける白黒世界
Map0157: モノ011 ※死体さんから行ける白黒世界
Map0158: モノ013
Map0159: 塀へ ※空中庭園の白い花の場所
Map0160: 塀へループ
Map0161: 塀へ出口

 

ver.0.10, ver.0.10a

ver.0.10 は 2007/09/17 完成、2007/10/06 にバグ修正パッチ (yumesyuusei.lzh) が配布された。最も新しい ver.0.10a は 2018/01/10 からSteamで公開されているバージョン。

ver.0.10 ではマップ番号が全体的に変更されているため、ver.0.09 との差分はわかりづらい。ver.0.10, 修正パッチ, ver.0.10a のあいだではマップ構成は変更されていない。追加されたマップは 夢中夢の階段、倉庫~火星、ほうき飛行 である。

ver.0.09 と ver.0.10 の差分は以下の通り。

Map0159: ベッドの中の階段
Map0160: 倉庫前通路
Map0161: 倉庫前通路(炎)
Map0162: 倉庫
Map0163: 宇宙船入り口
Map0164: 宇宙船_01
Map0165: 宇宙船_02
Map0166: 宇宙船_03
Map0167: 宇宙船出口
Map0168: 火星_01
Map0169: 火星_02
Map0170: 火星_03
Map0171: 火星_04
Map0172: 火星_05
Map0173: 火星地下_01
Map0174: 火星地下_02
Map0177: デパートD
Map0178: デパート屋上
Map0179: ほうきで飛行

 

 

おわりに

念のための繰り返しになるが、実際にここで挙げた通りの順番で更新されたかは定かではない。とはいえマップ更新順の考え方を使うことで、より鮮明に制作状況がわかりそうな感触が得られたと思う。

 

今後のアップデートの可能性はあるのだろうか? 2024年9月現在、ゆめにっきの最新版は ver.0.10a である。Toby Fox氏によるききやま氏へのインタビューでは、「ver.0.10a の公開時にこれが最終バージョンだと思っていたか」という質問には「いいえ」と回答されている。

これは、ききやま氏のなかではまだ完結済の作品ではなく展開を続けたいという意味かもしれないし、あるいは新マップは追加せずに保守対応は今後も続けるということなのかもしれない。

www.famitsu.com

YUMENIKKI -DREAM DIARY- の開発者インタビューでは、ききやま氏が「ゆめにっきというのはもはや、誰かの考え方を押しつけるようなものではなくて、みんなのものなんだ」という考えを持っているようだと語られている。

www.4gamer.net

 

今年でゆめにっき公開から20周年。最後の新マップ追加から17年経っているが、これから新バージョンが公開される可能性もゼロではない、かもしれない。

【ゆめにっき】ウボァの岩を訪ねる

ゆめにっき最大のトラウマイベントを一つ挙げるとすれば、きっと ウボァ ではないでしょうか。

 

静岡県磐田市の今之浦公園(いまのうらこうえん)には、ウボァによく似た岩の彫刻があるという噂があります。

 

初出はおそらくこちらのブログ記事です。(サイト閉鎖のためアーカイブへのリンクです)

web.archive.org

 

この岩がウボァの元ネタということはないと思いますが、気になっていたので見に行くことにしました。

 

 

実際に行ってみる

今之浦公園は、JR磐田駅から徒歩20~30分程度の場所にあります。

 

磐田市のサイトにあるとおり、今之浦公園には西側と東側があります。

www.city.iwata.shizuoka.jp

 

今回のお目当て、ウボァの岩は、今之浦公園西側の端に位置します。

 

 

ありました。

 

たしかに似ている。

 

事前調査で知っていたのはこの笑っている表情ですが、実物を見てみると衝撃の事実がわかりました。

なんと3方向にそれぞれ喜・怒・哀の表情が彫られているのです。

 

 

 

今之浦公園のウボァは思いのほか表情豊かでした。